相続した家財や車、ゴルフ会員権はいくらで評価する? その他の財産の評価

目次

── 家財も車も会員権も、一つずつ評価していきます。

家財や自動車、ゴルフ会員権、貴金属。これらも相続税の対象で、財産ごとに評価の仕方が決まっています。多くは、売買実例価額や取引価格といった、実際に売り買いされている金額をもとにします。ただ、その求め方は種類によって違い、預金の残高のように一目ではわかりません。いくらと見ればいいのか、迷いやすい財産です。

たとえば、こんなご相談があったとします。

ご相談者は、お父様を亡くされた50代の方。主だった財産は自宅と預金で、大筋は把握できていました。ところが、遺品を片づけるうちに、相続財産としていくらになるのか、判断のつかないものが次々と出てきたといいます。お父様が乗っていた車、長らく使っていないゴルフ会員権、床の間の掛け軸。

「これも相続財産に入るのでしょうか。入るとして、いくらと評価すればいいのでしょうか」

――そう戸惑われるのも、無理のないことです。預金なら通帳の残高、不動産なら固定資産税の通知に載る評価額と、金額をつかむ手がかりがあります。けれど、家財や車、会員権には、そうした手がかりがありません。とはいえ、評価の仕方は種類ごとに決まっています。まずは、多くのご家庭にある家財から見ていきましょう。

◆ 家庭用財産の評価|5万円以下の家具や家電は「家財一式」でまとめる

家具や家電、衣類、食器といった家庭にある動産を、家庭用財産といいます。これらも亡くなった方の財産ですから、相続税の対象です。

原則は、一つ(一組)ごとに、売買実例価額や精通者意見価格をもとに評価します。売買実例価額は、同じような中古品がいくらで売り買いされているか。精通者意見価格は、業者など詳しい人の見積りです。とはいえ、家じゅうの家具や食器を一つずつ評価するのは、現実的ではありません。そこで、一つ(一組)が5万円以下のものについては、まとめて「家財一式」として評価してよいことになっています。

出典:国税庁「財産評価基本通達 128・129(動産の評価)」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/06/01.htm

◆ 5万円を超える動産の評価|自動車・貴金属・骨董品は査定額や市場価格で計算する

一つ(一組)が5万円を超えるものは、家財一式にまとめず、個別に評価します。代表的なのが、自動車、宝石や貴金属、絵画・掛け軸・骨董品です。

評価に使うのは、家財と同じく売買実例価額や精通者意見価格です。中古車なら買取店の査定額、貴金属ならその日の地金の価格、書画骨董なら専門店の鑑定や見積りが手がかりになります。実際に売れるとしたらいくらか、という金額で考えます。

ここで気をつけたいのが、名義です。たとえば車の名義がお子さんになっていても、その車を買ったお金を出したのが亡くなった方であれば、実質的には亡くなった方の財産として扱われます。名義そのものより、お金の出どころで見る、という考え方です。預金についても同じことがいえます。この見方は『名義預金とは?配偶者や子・孫の名義でも相続税がかかる理由』で説明しています。

◆ ゴルフ会員権の評価|取引価格の7割に預託金を足して計算する

売買できるゴルフ会員権は、亡くなった日の取引価格の70%で評価します。取引価格は、会員権を扱う業者のサイトなどで確認できます。

このとき、取引価格に含まれていない預託金(あとで返ってくるお金)があれば、その分を上乗せします。

ゴルフ会員権を評価してみる

亡くなった日の取引価格が200万円で、返ってくる預託金が50万円のゴルフ会員権だったとします。

 取引価格 200万円 × 70% = 140万円
 返ってくる預託金           50万円
 評価額 140万円 + 50万円 = 190万円

なお、譲渡ができず、預託金の返還もなく、ただプレーができるだけの会員権は、財産としての価値がないものとして評価しません。手元に会員証があったら、まずはどの種類にあたるか、確かめてみてください。

出典:国税庁「No.4647 ゴルフ会員権の評価」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4647.htm

◆ 未収金と保険の権利の評価|貸付金・未収家賃や生命保険契約に関する権利

目に見えにくいぶん、抜けやすい財産もあります。

一つは、亡くなった方が受け取る側だったお金です。人に貸したまま返ってきていないお金(貸付金)や、支払日は過ぎたのにまだ入っていない家賃、亡くなった月の未払いの給料(未収金)などが、これにあたります。貸したお金は、元本にその日までの利息を足した金額で評価します。未収の家賃や給料は、受け取るべき金額そのままです。受け取る権利のあるお金は、亡くなった方の財産だからです。

もう一つ、忘れられがちなのが、生命保険契約に関する権利です。たとえば、お父様が保険料を払っていた、お母様の生命保険。お父様が亡くなっても、お母様がご存命なら保険金はまだ出ませんが、それまで払い込んできた保険契約そのものは、亡くなったお父様が残した財産です。この場合は、その日に解約したらいくら戻るか(解約返戻金)で評価します。掛け捨てのように、解約しても戻るお金がない保険は、評価しなくてかまいません。なお、これは、亡くなったことで遺族が受け取る生命保険金とは別のものです。受け取る生命保険金のほうの扱いは『生命保険金に相続税はかかる?|非課税枠と、受け取る人で変わる扱い』で取り上げています。

出典:国税庁「No.4660 生命保険契約に関する権利の評価」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4660.htm

◆ 一つひとつの財産を早めに確かめる

ここまで見てきた財産は、預金の残高証明書のように、一目で金額がわかるものばかりではありません。ゴルフ会員権の取引価格は業者に、解約返戻金は保険会社に、と、それぞれ問い合わせて確かめることになります。返事までに日数がかかることもあるので、早めに動いておくと安心です。

一つひとつは目立たなくても、これらも亡くなった方の財産の一部です。手間はかかっても、どれも見落とさずに確かめておきたいところです。

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