続した土地・建物はいくらで評価される? 路線価方式と倍率方式

目次

── 固定資産税評価額でよいのは建物だけ。土地は別の方法で計算します。

相続した土地や建物の評価額は、決められた方法で求めます。建物は、固定資産税の通知に載っている金額(固定資産税評価額)がそのまま評価額になります。土地は、路線価方式か倍率方式で計算します。どちらも実際に売れる金額より低めに出ることが多く、自宅の土地なら特例でさらに下がる場合もあります。

たとえば、こんなご相談があったとします。

ご相談者は、お母様を亡くされた60代の長女。お母様が長く暮らした実家の土地と建物を受け継ぐことになりました。手元にある不動産の資料といえば、毎年届く固定資産税の通知書くらい。そこに書かれた評価額を見て、こう口にされます。

「相続税は、この固定資産税評価額で計算すればいいのでしょうか。」

――そう戸惑われるのも、無理のないことです。じつは、建物と土地とでは評価のしかたが違います。まずは順番に見ていきましょう。

◆ 相続した不動産の評価|建物と土地は別々に計算する

相続税では、土地と建物を分けて評価します。

建物(家屋)は、固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額になります。土地のように別の計算はいらず、通知書の固定資産税評価額をそのまま使えます。先ほどのご相談でいえば、建物の部分は「固定資産税評価額でよい」が答えになります。

いっぽう土地は、固定資産税評価額をそのまま使うわけではありません。土地の評価には路線価方式と倍率方式の2つがあり、どちらを使うかはその土地の場所で決まります。道路ごとに価格が定められている地域は路線価方式、そうでない地域は倍率方式です。自分の土地がどちらにあたるかは、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確かめられます。

なお、分譲マンションは土地と建物を分けて評価するため、計算の形が少し変わります。人に貸している土地や建物も、借りている人の権利のぶん、評価が調整されます。

◆ 路線価方式による土地評価|「路線価 × 面積」が計算の基本

路線価方式は、道路に付けられた価格をもとに土地を評価する方法です。

路線価とは、道路に面した標準的な土地の1平方メートルあたりの価格のこと。国税庁が毎年1月1日時点で定め、その年の7月に公表します。相続税の評価には、亡くなった年の路線価を使います。年の前半に相続が起きたときは、7月に公表されるのを待ってから評価することになります。

計算の土台は「路線価 × 面積」です。ここに、土地の形や奥行きに応じた補正が加わります。間口が狭い、奥に細長い、形がいびつといった使いにくい土地は、その分だけ評価額が下がる調整が入ります。

たとえば、路線価が30万円(路線価図では300と表示)、面積が180平方メートルで、正方形に近い土地であれば――
 30万円 × 180平方メートル = 5,400万円

これが評価額の土台です。土地の形によっては、ここから補正で下がることもあります。

◆ 倍率方式による土地評価|路線価がない地域での計算方法

路線価は、すべての土地に定められているわけではありません。郊外や田畑の多い地域では、路線価そのものがないことがあります。

こうした地域で使うのが倍率方式です。計算は「固定資産税評価額 × 倍率」。固定資産税評価額は通知書で分かり、掛ける倍率は、さきほどの「路線価図・評価倍率表」に地域ごとに載っています。たとえば倍率が1.1なら、固定資産税評価額に1.1を掛けた金額が評価額です。

同じ相続でも、複数の土地があれば、場所によって路線価方式と倍率方式のどちらになるかが分かれることもあります。まずは一つひとつ、どちらの地域なのかを確かめるところからになります。

出典:国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm

◆ 相続税評価額と時価の違い|公示価格の8割・7割が目安

ここで戸惑いやすいのが、路線価で出した金額と、実際に売れそうな金額とのあいだに、ひらきがある点です。

路線価は、売買の目安になる公示価格の8割ほどを目安に定められています。倍率方式のもとになる固定資産税評価額は、さらに低い7割ほどが目安です。どちらも、実際の取引価格より低めに出るように作られています。たとえば、売れば3,000万円ほどになりそうな土地でも、路線価で計算した評価額は2,400万円ほどにとどまることがあります。相続税は、この低めに出た評価額をもとに計算します。ですから、相続税の評価額が近所の売り出し価格より低く見えても、間違いではありません。

一方、その土地を実際に売るときは、相続税の評価額ではなく、買い手との間で決まる取引価格で売れます。売ったときにかかる税金は評価額とはまた別の話で、『相続した不動産を売ったときの税金|取得費加算と空き家3000万円控除』で整理しています。

◆ 小規模宅地等の特例との関係|先に評価額を出してから特例を適用する

自宅として使っていた土地には、評価額を大きく下げる特例があります。小規模宅地等の特例です。

まず路線価方式か倍率方式で土地の評価額を出し、そのうえで条件を満たせば、一定の面積までの評価額を減らせます。自宅の土地なら330平方メートルまで8割減。5,000万円の土地が1,000万円になることもある、大きな特例です。

ただし、誰が相続しても使えるわけではなく、住んでいた人や相続する人に条件があります。特例の中身は『小規模宅地等の特例とは?自宅の土地は330㎡まで8割減|相続税ゼロでも申告は必要』で整理しています。覚えておきたいのは、先に評価額を出し、そのあとで特例を使う、という順番です。

◆ 手元の通知書と路線価図で評価額を確かめる

相続した不動産の評価は、建物は固定資産税評価額、土地は路線価方式か倍率方式、という形で決まります。売り出しの金額でも、通知書の金額そのままでもないぶん、はじめは戸惑うかもしれません。

それでも、通知書と路線価図をそろえて、ひとつずつ数字を当てはめていけば、受け継いだ土地と建物が相続税のうえでいくらになるのかは、見えてきます。

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